八天堂の想い
株式会社八天堂、森光でございます。
今から20年前。広島の三原港町にて小さなパン屋を開業させました。
お店に並べたお品は、100種類。
「繁盛店に必要なのは、品揃えだ」
それだけを信じて作り続け、気が付けば1万種類。
しかし・・・作れども、作れども、売上が上がらず、
私は、いつしか【よい商品】ではなく【売れる商品】を作ろうとしている矛盾に気付きました。
八天堂にしか作れない【よい商品】はできないだろうか・・・。
悶々と悩む中で、2007年1月。
100種類にまで広げたパンを1品に絞り、【専門店】として生まれ変わる業態転換を決意します。
「1品だけでどうやって営業するの?」
当時多くの方々から猛反対。
しかし、覚悟を決めて、極限の孤独と戦いながらの挑戦の日々が始まりました。
商品は、くりーむパンに絞りました。本来、くりーむパンのクリームは冷たい方が美味しいのです。
そして、何よりも食感が大切だと考えていました。生クリームを使えば、口どけがよくなります。
しかし、生くりーむを使えば「冷蔵」が必要。冷蔵するとパンは、パサつき中に、クリームなんて入りません。
ヒントになったのは、シュークリームの注入機です。
使ってみると、冷たいパンの中は空洞なのにクリームがたっぷり入り、しっとりとしたパン生地に
クリームの口どけ、新しい触感ができあがりました。
また、世の中には、どんなに美味しくても飽きられる商品があります。
私は、バニラビーンズやリキュールなどを余計なものを一切入れず、
味を足していくのではなく、どこまでも引き算をすることで素材に近づけました。
そうやって、誕生したのがひんやり冷やして食べる
「とろけるくりーむパン」 です。
リリースから4年余り。
現在でも、多くのお客様が、このくりーむパンを「手土産」にしてくださっております。
パンは、「自分で食べる為」のものです。
もし、「大切な誰かに差し上げる為」お使い頂ければ、スイーツとも呼ぶことができます。
100品から1品に力を集中することでスイーツパンとも呼べる【よい商品】ができあがりました。
もがき苦しんでいた20年前。
「八天堂」にしかできないことを目指していた私から見れば、感無量です。
より多くの方々が、このくりーむパンを食べることで元気になってくださればこんなに嬉しいことはありません。
今後も、一丸となって「よい商品」を作り上げて参ります。
これからも、より多くの物語を作って参ります。
株式会社八天堂 森光孝雅